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シェアハウスでの出会い
Haru Ozawa 「素敵なことは素敵だよって言いたいじゃん」
尾澤陽さん(宇大・農・資源・4年)は東京都出身。スマート農業の研究をすべく都内の大学院に進学を控えている。宇都宮で過ごした4年間の集大成として、農学部で培った経験を生かして地域農業を盛り上げる。取材中に出た名言は数知れず。特に「素敵なことは素敵だよ」という宇都宮の野菜に対する純粋な思いは、明るく真っ直ぐな尾澤さんを表していると感じた。
Yuri Kameo 「真面目が一番の近道」
亀尾侑里さん(宇大・農・農経・4年)は鳥取県出身。1次産業に関わりたいという思いで卒業後も農業ビジネスに携わり、日本の農業を刷新していくつもりだ。ひしひしと感じるカリスマ性を持ち、就活をしないで就職をしたという異端児である。しかし、座右の銘である「真面目が一番の近道」が表すように、イケイケな見た目と本質を見極める思考力のギャップが魅力である。
2020年9月末にとあるシェアハウスのパーティで偶然に居合わせた初対面のふたり。こんなに真剣に農業について語り合い、意気投合できる人がいるなんてとお互い驚いたそうだ。普段、農学部といえど農家の課題やそれに対して何かアクションを起こしたいという熱意を議論できる学生は多くない。取材を通して、この偶然の出会いは必然だったと思えるほど性格は異なるが息ぴったりなふたりの掛け合いは絶妙で、とても楽しくお話を聞かせてもらった。
学生農産物直売所「つながり」
意気投合してからの動きは早く、10月には農産直売所「あぜみち」や農業振興事務所とつながり、農家を紹介してもらうなどして本格的に直売所オープンに乗り出した。準備段階で宇都宮大学建築デザイン学生団体UUADの寺澤基輝さん(宇大・地デザ・建築・4年)と知り合い、ポスターデザインや販売棚の作成などを協力して行った。12月6日に峰キャンパス近くのフリースペース「ミズタマリ」にて学生をターゲットとしプレオープンした。通りがかりの人に声をかけ、ほとんど売り切ることができた。また、とりあえずやってみようマインドが功を奏し、多くの課題発見を次の本オープンに活かすことができた。広報、時間、売り方、日にちなど様々な点を改善したが、特に大きな変化はターゲットの変更だろう。主婦や高齢者を意識してオープンした12月23日は、カリフラワーやキャベツなど家庭料理向きの新しい種類も追加し好評だった。おすすめ調理法や品種の特徴などを丁寧に説明することも心がけた。特に生産ストーリーを直接農家に取材し実食した上で販売しているため、その説得力と購入満足度はスーパーのものとは比べ物にならない。
緊急事態宣言で一時期間が空いたものの、3月になってからもすでに数回オープンしている。これからは定期的なオープンと後輩への継承を課題としているそうだ。この活動は、食べて知ることで、栃木を離れても栃木の野菜に親しみを感じてもらうことを軸としている。このような地道かつ体験的に地元愛を育む方法は地方の未来にとって非常に大きな可能性となる。「うまいもんは売れる」ことを、身をもって証明してくれた彼らの志を賞して、私たちも地元の美味しい魅力を積極的に食べて応援しよう。