運動してもカロリー制限しても痩せない理由

こんにちは! トミーです。

 皆さんは、減量を使用と思ったり、ダイエットをしようと思ったりしたときには何をしますか? カロリー制限? ランニング? それとも糖質制限?

実は、これらをストイックに行ったところで痩せる可能性はかなり低いです。

   

「カロリーを制限しているのに体重が落ちない!!

「毎日走っているのに、運動しているのに何故痩せない?!」

     

皆さんも、一度はこのような経験をしたことがあるのではないでしょうか。

そこで今回は、運動しても、カロリー制限をしても痩せない事を示唆する学説のお話をしてきます。

人の体は単純ではない

 事実、カロリー制限や運動のように、一般的に痩せると言われている方法を実践しても目標通り痩せられない人が数多くいます。

一体何故なのでしょう?!

 答えを一言で言ってしまいます。人間の身体は、カロリー制限や運動で痩せるようにできていないからです。

 摂取カロリーを消費カロリーよりも減らせば痩せる。運動すればカロリーが消費されて痩せる。このような説は自明のように思えますが、人体はそんなに単純にできてはいないようです。

 ここからは、カロリー制限で痩せない事を示唆する学説と、運動しても痩せないことを示唆する学説を解説していきます。

運動しても痩せない理由

運動しても総消費カロリーは変わらない

まずは、運動しても痩せないことを示唆する調査を紹介していきます。

 ニューヨーク市立大学ハンター校のHarman Pontzerさんは、ハッザ族が1日に消費するカロリーを調査しました。(※1)

 ハッザ族は、タンザニア北部のサバンナで暮らす昔ながらの狩猟採集民族です。彼らの生活は肉体的にとてもキツイです。女性は毎朝、人によっては赤ん坊を背負いながら野いちごなどの食糧を探しに行きます。ハッザ族の主食はイモで、女性たちはそれを何時間もかけて棒などを用いて掘り出すそうです。また、男性たちは狩りに出かけ、毎日何kmも獲物を探し回り、獲物が少ない日には10mを木に上って蜂蜜を摂っているすです。想像しただけでもきつそうですね、、、。このような行動を毎日続けているなんて、さすがです。

 女性はイモを掘って、男性は狩りをして、時には木に登る。ハッザ族の消費カロリーは、座ってばかりでほとんど運動しない現代人と比べて遙かに多いはず!

 しかし、ハッザ族が1日に消費するカロリーと現代の欧米人が消費するカロリーはほとんど同じでした。これにはHarman Pontzerさんも驚いたようです。

 また、グアテマラ、ガンビア、ボリビアで昔ながらの農耕生活をしている人々の消費カロリーを調べても、都市生活者の消費カロリーとほとんど変わらなかったそうです。

 体を良く動かす人は、そうでない人と比べて消費カロリーが多いのは自明のように思えます。しかし、この調査はそれとは反対の結果を示しています。

 運動してもほとんど痩せない人が多数いること、そしてこの調査結果を考えると、太る原因は運動不足ではなく食べすぎによるものだという推測ができますね。

飢え死にを防ぐ戦略

体を良く動かす人とそうでない人で消費カロリーが変わらないのは何故なのでしょう。

 先ほど紹介した調査を行ったHarman Pontzerさんは、人体が目立たない日常業務で費やしているカロリーを節約することで、身体運動に当てる余力を生み出しているのではないかと推測しています。つまり、運動でカロリーを消費するかわりに、運動以外で消費するカロリーを抑えていると言うことです。

 例えば、運動すると炎症反応が弱まる場合が多く、エストロゲンなどの生殖ホルモンのレベルが下がるそうです。実験動物の場合、日々の運動量を増やしても消費カロリーは変わらず、その代わりに排卵周期が遅くなり、組織の修復も遅くなるのだそう。

 運動しても総消費カロリーに影響がないのは、人間の場合でも他の動物の場合でも、毎日のエネルギー消費を抑えるための戦略の一つなのかもしれませんね。痩せたいなら、運動以外の方法でアプローチする方が良さそうです。

カロリー制限しても痩せない理由

次に、カロリー制限をしても痩せられない理由を解説していきます。

 「(消費カロリー)―(摂取カロリー)」の値が正の値、つまり、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回った場合、私たちの体重は減少します。

体重減少量=(消費カロリー)―(摂取カロリー)

 したがって、この公式は正しいです。

 しかし、この公式が成り立つのは、私たちの消費カロリーが常に一定であるという前提です。実は、私たちが摂取するカロリーを減らすと、私たちが消費するカロリーも減少します。つまり、カロリー制限により私たちの消費カロリーも下がってしまうのです。

 カロリー制限をすると、消費カロリーの種類の一つである基礎代謝量が低下します。基礎代謝は、私たちが体温を維持したり、心臓や消化器官を動かしたり、血液を循環させるために必要なエネルギー(カロリー)です。基礎代謝はカロリー制限をした段階で減少することがわかっています。体はカロリー不足で飢え死にすることを防ぐために、カロリー摂取が減った場合、その分だけ消費するカロリーも抑えるのです。減少した摂取カロリーに見合う分だけ、体は基礎代謝を低下させ、体重を減らさないようにバランスをとっているのです。このような飢え死にを防ぐ仕組みには驚きですが、体重を減らしたい人にとっては悲しい現実ですね…。

 4万8835人の女性を対象に、7年間にわたってカロリー制限による体重減少の効果を調べた実験があります。カロリー制限群(1万9517人)は、一日当たり361kcalの制限を7年間してもらいました。ちなみに、361kcalのおおよその目安は、ミスタードーナツのチョコファッション1個分です。カロリー制限群において、最初の1年間は約2.2kgの体重減少が見られました。しかし、それ以降は体重が少しずつ増加し、最終的には元の体重に戻ってしまったそうです。(※2)

 長期的にみて、カロリー制限による減量は難しそうです。さらに、カロリー制限により代謝が下がった状態で元の食生活に戻るとむしろリバウンドしてしまう可能性さえあります。

おわりに

 いかがだったでしょうか。運動すれば痩せる。カロリー制限で痩せる。自明に思えるようなこれらの行動を試しても、なかなか痩せない。その理由は、私たちが運動してもカロリー制限しても痩せないような仕組みになっているからかもしれませんね。

次回の記事では、痩せるための方法を紹介していきます。ポイントは、「食事の内容」です。

 今回は以上です。この投稿が、皆さんにとって少しでもプラスになれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

※1 食と健康 日経サイエンス編集部
※2 食べても太らず、免疫力がつく食事法 石黒成治(著)

ひとり暮らしの健康学入門について

「ひとり暮らしの健康学入門」では、「大学生による、大学生が実戦しやすい健康法」を基本コンセプトにして、気軽に実践できる健康法とその知識を発信しています。 日々の行動を少し変えるだけで、自身の健康を維持向上できることを知って欲しい。そのような思いで記事を書いています。

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