サークル紹介 軽音楽研究会New Motley

蝉の鳴き声が聞こえる、蒸し暑い夜の体育館。

汗を袖で拭いながら、真剣な眼差しで楽譜を見つめる。

軽音楽研究会(通称:マトリー

軽音楽研究会New Motley(通称:マトリー)というサークルがある。バンド形式でジャズを演奏するサークルだ。サックス、トロンボーン、トランペットといった管楽器に加えて、ドラム、ベース、ギター、ピアノといった様々な楽器によって演奏される。

バンドの形式には、20人程度の規模で編成される「ビッグバンド」と、8人以下の少人数で編成される「コンボ」の2種類がある。

宇大には、他にも音楽系サークルがいくつかあるが、マトリーの唯一の特徴は、“ジャズをやっている”という点である。ポップスを主に演奏するサークルが多いなか、ジャズの演奏一筋で活動しているのはマトリーだけである。さらに、ジャズは「即興音楽」と呼ばれ、楽譜通りに演奏するだけではなく即興でアドリブを入れることが求められる、という点も唯一の魅力だという。

リーダー役2人にインタビュー

今回は、マトリーのリーダー役を務める3年生の杉浦 使さんと星 海月さんに話を伺った。

マトリーオンラインライブ

はじめに、今年の7月4日に開催されたマトリーのオンラインライブのことについて伺った。マトリーは、毎年市のコンサートホールにて定期演奏会を行ったり、外部のジャズイベントに参加したりと、活発的に演奏をしていた。しかし、去年は新型コロナウイルスの感染拡大により予定していたコンサートは全て中止。今年は、約一年半ぶりに無観客オンラインライブとして演奏をすることができた。「サークル活動が再開し、気づいたら3年生になっていて戸惑ったが、無事にライブができて良かった」と話す杉浦さん。「約一年間楽器を演奏していなかったためブランクがあったが、みんなで協力して、色んな人に支えられた結果、開催することができたので良かった」と話す星さん。コロナ禍により、残念ながら脱退してしまうメンバーもいた。しかし、活動を再開するために大学側へ必死に訴え、逆境を乗り越えた末やっと叶ったオンラインライブの開催。杉浦さんや星さんの安心した様子がうかがえた。

しかし、活動が再開したとはいえ、まだ悩ましい問題があった。それは、“活動後の食事会を行うことができない”ということである。サークルのメンバーが最も親密になれる機会が食事会である。しかし、課外活動後の複数人での会食は禁止されていたため、練習を終えて片付けをした後は直ちに解散する必要があった。「ご飯に行けないから、サークルの雰囲気が固くなってしまう。楽しくやっていきたいから、1、2年生の仲を良くする時間を作りたい」と話す杉浦さん。サークルのリーダー役として、メンバー間の関係を良くするために奮闘していた。しかし、食事会も大切だが、同じく大切なことがある。それは、「サークル全体の目標を掲げること」であるという。「みんな同じ目標があったから、団結していけた」と杉浦さんは今回のオンラインライブを振り返った。一つの目標に向かってメンバー同士で切磋琢磨し合うことこそが、絆を深める重要なポイントである。そのため、「今後はさまざまなライブイベントにもっと参加していきたい」と話していた。

大切にしていること

次に、後輩に指導するうえで大切にしていることについて伺った。マトリーは、大学生になってから初心者として楽器を始める人が多いという。そのため、杉浦さんは「あまり主張しすぎないで教える」ということを大切にしていた。威圧的に指導するのではなく、後輩の成長を長い目で見ることこそが大切だと話していた。しかし、初心者に教えるのは難しいことだという。指導するうえでの言葉選びや、基本的な音楽用語を一から教えるということなど、大変だと感じる場面がいくつもあるようだ。後輩に寄り添い、共に悩みながら親身になって指導する杉浦さんの姿は、非常に頼もしく思えた。

また、星さんは「学年関係なく音楽について話し合える雰囲気を作る」ということを大切にしていた。「音楽をやるうえで、上下関係なんて無い」と話す星さん。忖度をせずに誰もが声を掛け合える環境を作ることで、互いに音楽性を高め合うことができる。

マトリーの今後

最後に、マトリーの今後について伺った。「後輩を育てながら、色々な点でグレードアップしていきたい」と話す杉浦さん。また、星さんは「新たな目標を掲げるために、今年の秋冬にまたオンラインライブを行いたい」と目を輝かせて話していた。

現在、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大により、再びサークル活動が全面禁止されている状況にある。しかし、情勢が落ち着きまた活動ができるようになれば、一つの目標に向かい仲間と共に汗を拭う日々を取り戻すことができる。どうか希望を見失わずにいてほしい。再び美しくおしゃれなマトリーの演奏を、コンサートや学祭で聴けることを楽しみにしている。