2泊3日無人島生活 Day2

2泊3日無人島生活の2日目の記事です。1日目の記事はこちらです。

2泊3日無人島生活 Day1

こんにちは! トミーです。

今回は、無人島生活2日目の活動や感じたこと、そして人間の食事に関する豆知識を話していきたいと思います。

無人島生活2日目

無人島生活2日目は、丸1日を無人島で過ごす唯一の日。様々な出来事や感じたことの中から、特に印象深かったものを紹介します。今回も3部構成です。

ー三途の川ー

起床して朝食(?)を食べ終わった後は、島を一周した。傾斜が急な岩を登ったり、深緑の足がつかない海を泳いだりと、なかなか骨の折れるイベントだった。

  

島を一周した時の事を振り返ると、海へ飛び込んだ時の記憶が真っ先に浮かぶ。そこで生死の境目を体験することになったからだと思う。

  

島一周が始まり、3分の1ほど進んだところだったと思う。飛び込みスポットに着いた。断崖絶壁と言って良いほど岩肌が垂直に近い。

  

ここから海へ飛び込まなければならない。

  

この飛び込みで、一瞬だが私は生と死の狭間を旅することになった。

  

飛び込みポイントは段差が広い階段のようになっており、2~3m、5m、そして最上部の8mほどの3カ所を選ぶことができた。

  

私は最後の方に飛び込んだ。仲間が次々と飛び降りていき、ほとんどは最上部から飛び込んでいた。私の順番が徐々に近づいてくる。

  

「一番上からでもいけるんじゃね?w」

  

5mの地点から飛び込もうと思っていたが、最上部から飛び込める謎の自信がわいてきた。定期テストや模試の直前に感じる、あの謎の自信や余裕と同じような感覚だ。

  

そして、最上部の飛び込みポイントへ上がっていった。もちろん恐怖心はゼロだ。昨日の雨は上がり、青空が見えていた最上部からの眺めはとても綺麗だった。海の深青と、彩度がやや低い空の青色の組み合わせが綺麗だった。

  

私の順番が来た。謎の自信はまだ残っており、飛び込む直前までは本当に余裕な気持ちでいることができた。

私の番が来た。

  

助走をつけて、勢いよく岩から足が離れ……なかった。直前に身体が震え、さっきまでの余裕は一瞬で跡形もなくなった。心臓が止まるかとすら思った。

  

飛び込んでいる時の視界に移っていたのは、岩と海水面だけだ。目に映った岩と海水面はきれいに分断されており、その境界線に向かって進んでいるように見えた。本当に岩にぶつかるのではないかと思った。岩にぶつかって来世に行かなくて良かった……(笑)。

  

「あ、俺死んだわ」

  

三途の川がうっすらと見えた(ような気がした笑)。飛び込みポイントは断崖絶壁に近かったが、海水面と岩肌はわずかな鈍角をなしていた。前に飛んだはずが、上に飛んでしまったようで、仲間たちは岩に当たるのではないかとヒヤヒヤしたそうだ。

  

「あと20cmぐらいで岩に当たっていた」

  

飛び込む様子を見ていた仲間はこのように言っていた。周囲に見えていた岩や海水面は、数十メートルや数百メートルというスケールだ。さらに、仲間の多くは離れたところから私が飛び込む様子を見ていた。仲間からは20cmという距離は微々たる物に見えたはずだ。岩にぶつかると思ってヒヤヒヤしたのは当然だっただろう。ヒヤヒヤさせてごめんな(笑)。

  

もし5m地点から飛び込んでいたら、おそらく最高地点から飛び込まなかったことを後悔していただろう。海へ飛び込む体験など、滅多にできる事ではない。今回の経験は、今後のあらゆる事の経験のチャンスを後押ししてくれる物になると思う。

  

―火起こし-

島を一周した後は、火を起こした。火起こしは初めてだ。

  

渡されたのは、長方形の薄い木の板と、丸い木の棒、そして眺めの紐の3つだ。 これら3つの道具で火種というものを作り、それをウールのような物で覆い、酸素を供給すると火がつくらしい。 1日目に一緒に夕食を取ったグループで協力して火起こしを行った。

  

ところが、その火種の作り方が全くわからない。仲間と色々な手を打ってみるが、上手くいかない。摩擦熱を使うことはわかったものの、それ以外に必要な要素が何かわからなかった。

  

その後、ヒントはもらったものの、仲間と協力して火をつけることができた。島一周と同様、なかなか骨の折れる作業だった。

  

火種ができる前兆として、摩擦熱を作り出す部分から煙が出る。火種はできていなくても、煙が出たときから喜びが溢れてきた。煙が出始めてから火種ができるまではかなりの時間がかかるが、仲間と協力して火をつけられる希望が見えてきて力が沸いてきた。

  

火がついたときの喜びはさらに大きかった。私を含めた仲間がそろって拍手をした。とにかく、達成感が凄い。火がついたことに対する喜びもそうだが、仲間と協力して一つのことを成し遂げた喜びを感じることができた。

   

「みんなで協力してるなって強く感じた」

  

自分も同じ事を感じていると、仲間が教えてくれた。同じ気持ちを共有できて嬉しかった。

  

ちなみに、ヒントをもらう前に火種を作ることができなかったのは、摩擦熱が発生する部分に空気を送れていなかったからだそうだ。

  

食材の調理には火が必要だ。

  

食材を調理できるからこそ、人間は食材からのカロリーの吸収率を上げることができたり、燻製のような保存方法を発明できたりしたらしい。

  

それに加えて、調理は食事をより一層楽しい物にしてくれる。

  

これらを可能にした火を、文明の力なしに起こすことはとても大変だった。

  

今回の火起こしは、ガスコンロやのつまみを回したり、チャッカマンのボタンを押したりすると簡単に火をつけることができることに対するありがたみを強く感じた出来事でもあった。

  

―最後の夜―

涼しい風を感じる時間帯になってきた。

  

今からは夕食のカレーを作る。具材はジャガイモ、玉ねぎ、にんじん、ピーマンで、肉はない。1日目の夕食のお米とは異なり、大きな鍋でカレーを作り、各々の皿に取り分けるスタイルだ。

  

そして、仲間で焚き火を囲んでカレーをいただいた。

  

仲間と食べるカレーは格段に美味しかった。

  

島を一周し、仲間と協力して火をおこした後だからだろうか。理由は正直よくわからない。

  

温泉上がりに飲む冷水や珈琲牛乳が特別美味しく感じるのと同じような感覚ではなかった。言葉で表せない温かさを感じたような気がした。

  

「もう最後の夜なのか」

  

この事実が頭をよぎり悲しい気分になった瞬間もあったが、それ以上に仲間と語り合える喜びを感じることができた。

  

「自分を好きになることはとても大切なことだ」

  

2日目で一番印象に残った言葉だ。私と2人で海を眺めながら、仲間が言ってくれた言葉だ。焚き火と懐中電灯以外の光源が無い夜の海は漆黒であったが、その仲間は未来に希望の光を与えてくれるエピソードを話してくれた。

加熱調理と食事の共有の恩恵

以上が2日目に感じたことです。

生死の境目を体験した飛び込みも思い出深いですが、今回は「火(加熱調理)」と「仲間と共にする食事」に焦点を当て、私たちの食事について見ていこうと思います。

まずは「火(加熱調理)」の恩恵から見ていきましょう。

加熱調理は食事の質を上げた

突然ですが、あなたは直前の食事に何を食べましたか?

少し思い出してみてください。加熱された食材を食べた人は多いのではないでしょうか。

私がこの記事を書く直前に食べた食事のメイン料理は、グリル野菜を添えた豚ヒレ肉のステーキでした。

また、スーパーや飲食店に足を運んでも、加熱された料理が多く売られていますね。

このように加熱料理は私たちの生活に当たり前のように浸透している加熱調理は、私たちの食事の質を大幅に向上させ食事の楽しみを増やしてくれた、画期的な発明品だったのです。加熱調理は、飢餓をしのぐために進化させた物の一つだとされています。

私たち人間は、カロリー消費という観点で他の生き物と比較すると非常に特異的な種です。

・身体に対して大きすぎる脳を維持する

・大きな子供を産み繁殖力も高い

・各々の個体が長生きする

・身体を活発に動かす

これらのことを私たち人間は当たり前のようにやり遂げています。通常、これらのことはトレードオフです。例えばウサギの繁殖力はとても高いですが、それぞれの個体の寿命はとても短いです。ウサギは繁殖に多くのエネルギーを費やすため、自分の身体の維持や寿命に多くのエネルギーを回すことができないのです。

人間がこれらのことを全てやってのけるには、他の生き物と比べて膨大な量のカロリーが必要です。実際、私たち人間の消費カロリーはチンパンジーやボノボなどの他の大型霊長類と比べて、約400kcal多いのだとか。

そのため、人間はエネルギーを効率的に燃焼させるように進化してきました。しかし、先ほど見たように他の霊長類よりも消費カロリーが多い事は事実。上記4つの特徴を維持するための高カロリー食材を常に自然から入手するのは困難です。

カロリー源の確保に役立った物の一つが、加熱調理でした。

加熱調理により、例えばジャガイモやサツマイモなどの根菜類もカロリー源にすることができました。私たちの身体は生の根菜類を消化することには向いていません。しかし、加熱された根菜類を私たちは容易に消化することができます。

加えて、加熱調理は燻製など、食品を保存する手段としても役立ちます。加熱調理は、私たちのカロリーと栄養分の摂取量の増加に大きく貢献してくれたのです。

加熱調理は食事の楽しみも増やした

さらに、加熱調理は私たちの食事の楽しみを増やしてくれました。ステーキ、出し汁、さらにクッキーなどは、加熱調理が無ければおそらく無かったでしょう。

食事を楽しむ事ができるのは、人間だけだと言われています。私たちの顔の特徴として、食べ物を口に入れたときに、味覚と嗅覚が同時に刺激されます。口と鼻が繋がっているからです。味覚と嗅覚が同時に刺激されることにより、私たちはより食事を深く味わうことができると言われています。これは進化の過程の突然変異によるものだそう。あくまでも一説ですが、進化の突然変異に感謝ですね(笑)。

「火(熱源)」がなければ、肉を焼いてステーキを作る事も、野菜や動物の骨、魚介類を煮詰めて出汁をとる事もできません。そして、カレーを作る事もできません。

火を使った調理が私たちの歴史の中でいつ始まったかは、まだはっきりしていないんだとか。

しかし、私たちの食事の質を格段に上げ、食べる楽しみも格段に増やしてくれた、先祖の発明だったのです。

食事の共有の恩恵

私たちは、当たり前のように他人に食べ物を分け与えます。誕生日に食べるホールケーキやBBQなども立派な食の共有です。

実は、食べ物を他人と共有するのは私たち人間だけだと言われています。私たち人間は、大きな脳を維持したり、各個体が長生きしたり、活発に動くために多くのエネルギーが必要だと言うことを先ほど触れました。エネルギーを安定して得るための手段の一つが、仲間と食事を共有することだった言われています。

私たちが当たり前のように行っている食べ物の共有は、人間独特の営みであり、私たち人間にとっての基本的な行動となっています。

「親しい人と美味しく食べること」も健康には大切

加熱調理と食べ物の共有。私たちが当たり前のように行っているこの2つの行為が、私たちの飢餓を防ぐことに貢献した、人間独特の行為であることを見てきました。おまけに、加熱調理は食事の楽しみを増やしてくれました。

このような背景があるからなのか、親しい人と食事を共にして、食べ物を美味しく食べることも私たちの健康に影響します。

実は、誰と食事をするか、美味しい食べ物を食べるかどうかは、私たちの腸の働きに影響を及ぼします。

腸は、食べ物から栄養を吸収することができる、身体で唯一の器官です。腸の働きが悪くなると、食べ物からの栄養の吸収と、体内の不要物の排出が滞ってしまいます(腸の壁は栄養を吸収するだけではありません。体内の不要物は腸の壁からも排出されます)。

「腸の不調はあらゆる不調」と言われるほど、腸の働きは私たちの心身の状態に深く関わります。

家族や恋人、友人と一緒に食事をすると、腸の働きが良くなります。しかし、逆にそうでない人との食事は、腸の働きを悪くし、消化吸収や老廃物の排出が滞ります。

また、自分が好きな食べ物や美味しいと感じる食べ物を食べることでも、腸の動きは良くなります。反対に、嫌いな食べ物や美味しくないと感じる食べ物を食べると、腸の動きが悪くなってしまいます。

腸は私たちの精神の状態を非情に受けやすい臓器です。親しい人と一緒に食事をすること、そして食べ物を美味しくいただくことは、幸せを感じるだけではありません。私たちの腸の働きもよくなるのです。

無人島2日目の夕食はメンバー全員で焚き火を囲みカレーをいただきました。「無人島で食べるカレーは美味すぎる」と感じた人が多くいました。私を含め、仲間と食べ物を美味しくいただきました。1日目と3日目も同様です。

食べるものだけではなく、食事を共にする人も私たちの健康に影響を与えるのです。

📖主な参考文献

・人間らしさの起源 社会性,知性,技術の進化史
    日経サイエンス編集部(編集)Amazon

・食と健康
    日経サイエンス編集部(編集)Amazon

・間違いだらけの腸活の常識 
    藤田紘一郎(著) Amazon

大学生の不健康学入門について

「大学生の不健康学入門」では、ライター自身の体験と、それに関連する健康知識を組み合わせた記事を発信しています。「真面目×不真面目」を基本コンセプトとして、オリジナリティある記事を目指しています。

大学生の不健康学入門

今回は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。 2泊3日無人島生活 Day3は準備中です。